巨大脾臓腫瘤


今回は巨大な脾臓腫瘤(脾臓のできもの)が見つかった子をご紹介します。
症例は11歳、雑種のわんちゃんです。
ご家族の方と激しく接触し、数日後にふらつきや食欲廃絶がみられるとのことで来院されました。
来院時のレントゲン検査で、腹腔内に巨大な腫瘤が確認されました。
超音波検査で腫瘤は脾臓由来であると確定することができました。
同時に、腹水が確認されましたが、腹水は少量であったため、性状検査はできませんでした。
心臓超音波検査では心臓ボリュームの不足(循環血液量の減少)が顕著でした。
血液検査から軽度の貧血および重度の血小板減少が確認されました。
以上の検査所見と症状から、脾臓腫瘤が破裂し、腹腔内出血を起こしていると考えました。
血小板の数値的には手術時に出血が止まらない可能性が十分に考えられ、また、腹水が小量なことから活動的な出血はないと判断し、血小板数が回復するのを待ってから手術を行うことにしました。
ただし、またいつ破裂するか分からない状況ですので、絶対安静で過ごして頂きながら、何度か通院して頂き、経過をみていきました。
約2週間後に、血小板数は十分に回復しました。
血小板数は回復しましたが、本人は辛そうで、食欲は3割程度までしか改善がみられませんでした。
一般状態の改善が十分でなく、また以前よりも大幅な体重減少(10.5kgあった子が7.3kgに)がみられていたので、巨大な脾臓腫瘤が全身状態に大きな影響を与えていると考え、オーナー様とご相談の上、手術をすることにしました。
手術は脾臓摘出(できものも含めて脾臓を全て摘出する)を行いました。
脾臓腫瘤は巨大で、大網、胃、小腸と癒着していましたが、何とか摘出することができました。
手術後の体重は6.7kgになっていました。
巨大な腫瘤による腹腔内の圧迫がなくなったおかげか、術後はすぐに元気になってくれました。
幸いにも大きな合併症はなく、術後3日目で退院となりました。
手術後2週間で抜糸を行いましたが、その時には足取りは軽やかで、食欲も旺盛、体重は7.6kgまで回復してくれていました。
その1ケ月後にはさらに9.6kgまで体重は戻り、とても元気になっていました。
一般的にわんちゃんの脾臓腫瘤は悪性腫瘍(特に血管肉腫)が多いと言われています。
本症例の病理検査結果は、幸いにも良性病変(骨髄脂肪腫と血腫)との診断でした。
良性病変だからこそ、ゆっくりと長い時間をかけて巨大化したのだと考えています。
脾臓腫瘤は大型でも症状がないケースがあります。
脾臓は超音波検査で簡単にチェックできる臓器です。
破裂や癒着がなければ脾臓摘出の手術もそれほど大変な手術ではありません。
早期発見、早期治療が可能な臓器です。
気になる方はぜひ一度、腹部超音波検査を受けてみてください。
副院長 藤田